世紀末 〜Other1〜



いろんな番組がカウントを取り始めた。
わけのわからぬノストラダムス研究家がうんちくをこねて、人々の興味を煽った。
恐怖というには、『予言』という言葉はあまりにもあいまいだった。
多くのものが「信じていない」と言いながらも、緊張して、何かが変わるかもと期待しつつ、その時を迎えた。

 

1999年、7の月はあっけなく終わった。

恐怖の魔王などという物体は降らなかった。

 

そのうちの一人に、室積正孝がいる。
彼は高校を卒業し、一年浪人後大学に入学。
2003年の今、大学生活を謳歌している。

大学生には勉強する暇がない。
それに頷けるほど、バイト、サークル、飲み会の毎日。

気持のよい夜だった。
正孝は隣の友人の肩に腕を回した。

「大ちゃん〜」
孝はデロンデロンに酔っていた。

そんな正孝を苦笑し、支える大ちゃん。

「流れ星〜降ってる、降ってる」
「星流れてないって・・・」
「降ってるの、降ってる」

その言葉に正孝は笑った。

「・・・そういえばさ、恐怖の大魔王が降ってくるって予言あったよな」

正孝は笑い話として思い出した。

「ああ、ノストラダムスね」
「でも何も起こらなかったじゃん。詐欺だよな」

「ああ、それ? おれが高所恐怖症だったからだよ」

「・・・はっ?」

「わりぃ。もしかして、正孝も期待していたくち? 
あれ大気圏から落ちるんだぜ。怖くて気絶してるって。物壊す余裕ないよ。
ってゆーか、俺自身が放射能撒き散らし落ちる予定だったけど・・・」

正孝はぎょっとして、大ちゃんから体を離した。

「なんてなっ。嘘だよ。酔いさめたか?」

笑う顔はどことなく寂しげだった。

だから、正孝は「お前、誰だっけ?」って聞くことをやめた。

今更だけど・・・。

 



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