走る。
薄暗い森の中を。
逃げる。
背後に迫る獣から。
息は切れ、足はもつれ、それでも死を拒否する為に少女は走る。
逃げ惑う内に、少女は追い詰められ、逃げ場を失う。
それでも生を求め足掻く時、それは降り立った。
少女の瞳に映りしは、緑のマントを纏った銀髪の少年の後ろ姿。
少女を護り、闘う少年の後ろ姿。
軽やかな体捌き、鮮やかな剣技。
そして『鍵(キィ)』のみで発動する魔術。
危険は去り、少年は少女へ顔を向ける。
その顔を正面から見、少女は気付いた。
紅い右目と金の左目。
ダークハーフの証を持つ少年。
驚愕する少女に、少年は無事を喜び、笑顔を浮かべる。
その笑顔に、少女は不思議な既視感を覚えた。
初めて会うはずなのに、懐かしく感じ、切なくなる笑顔。
少女は少年に旅の同行を請い、少年はそれを受ける。
そして二人の旅が始まった。
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